オープンカーと雪

昨年の春、わたしの長年の夢であった、オープンカーを買うという目標を達成した。

最近流行りの軽自動車タイプのオープンカーで、丸みを帯びたフォルムがとてもかわいらしい。

東北の雪が多い地域に住んでいるため、オープンにして走行できる期間はとても限られる。

真冬はもちろん不可能だし、木枯らしの吹く季節になると、寒すぎて窓すら開けることができない。

同じ車のグレードの違うタイプにはシートヒーターが搭載されているものもあるらしいが、実際の寒さを前にすると、シートヒーターでも太刀打ちできないのではないかというのがわたしの意見だ。

また、真夏も問題だ。照りつける日差しが眩しい上に肌を刺すため、長時間オープンで走り続けることはできない。さらに言うと、シートを含む内装はすべてブラックで統一されているため、上からの暑さだけではなく、日光を吸収した車内インテリアからも熱が放出され、汗だくになってしまう。

となると、そう、春が一番ドライブに最適な季節である。

ようやく東北の地にも少しづつ暖かさが訪れ、ふきのとうが顔を出し始めたのを見て、わたしはその日を待ちわびていた。

そして先日、とうとう今年初のオープン走行の実行に至ったのであった。

朝は晴天。しかし、少し肌寒さを感じる気温だったので、念のためダウンジャケットを着込み、暖かいコーヒーをドリンクホルダーに装備して、いざ出発。

目的地は自宅から1時間ほど走ったところにある山の上にある温泉にした。

それほど寒さも感じず、順調に走り、温泉に到着。ゆっくりお湯に浸かって暖まり、さあそろそろ帰ろうというころ、雪がぱらつき始めた。

「今日はオープン記念日」と決意を固めていたわたしは、意地でもオープンで走り抜いてやるぞ、と、空を舞う白いものをものともせず、オープンの状態で山を下り始めた。

すると15分ほど走ったところで、先ほどまではぱらぱら舞っているだけだった雪が、バサバサ落ちて来た。まさに、落ちて来た、という表現がぴったりで、夏は熱を放出し放題だった黒いシートもハンドルも、またたくまに真っ白な雪に覆われてしまった。

それでも走り続ける。止まらない。今日はこのまま行くんだわたしは。

温泉で暖まった体が冷えきった頃、ようやく家に到着したわたしは、様子を見に来た母親に大笑いされた。そして家のお風呂に浸かってもう一度暖まり直しながら、おかしなことをしたかもしれないけど、こんな一日の楽しみ方もあってもいいな、と感慨に耽ったのでした。

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